IFRS基準開発の展望

~2017年からの5年間~

IFRS財団アジア・オセアニアオフィス ディレクター 竹村光広

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1.はじめに

国際財務報告基準(IFRS)を設定する国際会計基準審議会(IASB)は11月2日,最近実施したアジェンダ協議の結果と今後の作業計画を公表した。アジェンダ協議は,IASBの作業計画の戦略的方向性とバランスについて一般からのインプットを求める正式な公開協議であり,最初のアジェンダ協議は2011年に実施された。今回のアジェンダ協議は第2回目となり,2017年から2021年までにIASBが取り組むべき課題について協議した。IASBは2015年末までに寄せられた119通のコメントレターを年初から分析し,今年3月から5月の審議会で作業計画の改訂を議論した。審議会の議論にあたっては,119通のコメントレターのほか,比較的回答数の少なかった財務諸表利用者の意見を聞くために,別途,オンラインでのアンケート調査も実施して,そこで得られた回答も参考にした。さらに,投資家グループとのミーティングや,IFRS諮問会議,その他広範な関係者との協議を経て,今般の作業計画を公表した。

IASBの作業は次の3種類に区分されており,今回の作業計画もこれらの作業区分に分類して公表している。


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