ハーフタイム マネーの進歩史からみた仮想通貨

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仮想通貨の"仮想"は"事実でないことを仮にそう考えてみること,仮定としての想像"を意味する。他方,英語でいう"virtual"は"表面的にはそう見えないが,事実上・実質的にはそうだ"という意味をもつ。日本語には"贋金"だから気を付けろというニュアンスがあり,英語では"本物"と変わらないという。一体どちらが正しいのだろうか。

わが国では最近,財務省と金融庁が仮想通貨をモノやサービスではなく"支払い手段"と位置付け消費税をなくす調整に入り,三菱東京UFJ銀行は,独自の仮想通貨を使った海外送金の仕組みの開発に乗り出している。こうした仮想通貨の存在感の高まりをみると英語のほうに軍配が上がる。

では,ドル・円など法定通貨との違いはどこにあるか。まず,発行人は中央銀行ではなく自然人である。公的管理主体を持たず利用者がインターネット上で取引を相互監視する。専門家によれば,暗号学や数学や非集権型の認証に依存する。次に,コインや紙幣のような目に見えるモノではなくデジタルで表現される。要するに仮想通貨はいまや"金融とITが融合したフィンテックの筆頭格"であり,価値の貯蔵にも送金にも取引にも実際に使われている。...