シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第15回 外貨換算会計
慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生
木村太一君 今回は外貨換算でしたね。
教授 外貨の扱いは財務会計の限界に繋がる問題だと思っていて気が重いですね。
木村君 会計基準自体は長らく大きな改正はされていないようですね。
教授 外貨換算会計基準の大きな議論は相当前に一度決着したということですね。基準自体コンパクトですから,もう一度大きな議論をするには,基準の新しい方向性が見えないといけない。しかし,それは見当たらないということで静かなのでしょう。まず昔のことに触れましょうか。
外貨換算会計と機能通貨
教授 外貨換算会計の議論をずっとリードしたのは,米国会計基準です。日本やIASBはそれを追いかけた歴史といえますね。1981年のSFAS第52号の機能通貨概念の導入とともに外貨換算会計の歴史が変わったと思います。企業が営業活動を行う主たる経済環境における通貨ということで,同一企業(連結グループ)内で異なる通貨による日常処理を前提にすることになったのですね。1993年のIAS第21号の改訂と95年の日本基準の改訂は,機能通貨概念の採用の有無にかかわらず,現地通貨でそれぞれの会計が動いていくという方向ですね。
木村君企業活動が国際化してそれまでの考え方では...
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