連結納税・税効果入門 連結法人税計算のしくみと税効果会計 第5回 法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能額の算定

小川哲也公認会計士・税理士事務所 代表 小川哲也

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今回は,前回( 本誌No.3295 参照)に引き続き,STEP3で算定した各連結納税会社の繰延税金資産の金額(回収可能性検討前)のうち,回収可能性を判断し,回収可能額を算定していきます。

6.繰延税金資産の回収可能額の算定(STEP4)

(1)将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能額の算定

法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性の判断は,当該連結納税会社の個別所得見積額だけでなく,他の連結納税会社の個別所得見積額も考慮して行うのに対して,住民税,事業税については,当該連結納税会社の個別所得見積額のみを考慮すればよいため,税金の種類によって将来事業年度の繰延税金資産の回収可能額の算定方法が異なることになります。そのため,将来減算一時差異に係る繰延税金資産は,法人税及び地方法人税,住民税,事業税ごとに回収可能額を算定します(報告第7号Q3①,②)。

(2)繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能額の算定

繰越欠損金は,税金の種類ごとにその取り扱いが異なるため,法人税及び地方法人税,住民税,事業税ごとに繰延税金資産の回収可能額を算定します。また,連結欠損金個別帰属額に係る繰延税金資産(法人...