IFRSをめぐる動向 第94回 資本の特徴を有する金融商品プロジェクト

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 浅井 敬子

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。IASBでは,現在,資本の特徴を有する金融商品に関するリサーチ・プロジェクト(以下,「FICEプロジェクト」という。)が進められています。昨年12月までの議論において,企業に対する請求権(claim)を負債と資本に区分する際のアプローチとして,「ガンマ・アプローチ」の開発に焦点を当てて取り組むことが仮決定され,現在,様々な金融商品に対するガンマ・アプローチの適用について議論が行われています。

今回は, 2016年10月~12月のIASB会議での議論の内容について解説します。FICEプロジェクトの概要やガンマ・アプローチの詳細など,2016年9月までのIASB会議での議論の内容については,本連載の第91回「IASBにおける資本の特徴を有する金融商品に関する議論について」( 本誌No.3283 )をご覧ください。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.2016年10月~12月のIASB会議での議論

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