厳選!現場からの緊急相談Q&A 第39回 企業集団内の会社に投資(子会社株式又は関連会社株式)を売却した場合の税効果

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 波多野 伸治

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経理部員 :当社には,S1社及びS2社という当社が100%保有する連結子会社があります。今回,当社が保有するS2社株式をすべて,S1社に譲渡し,S2社をS1社の100%子会社(当社から見るとS2社は100%孫会社)とすることを考えています。
完全支配関係にある国内会社間の譲渡取引の損益(課税)の繰延べと税効果会計の関係について,昨年S1社に当社が保有していた土地を譲渡したケースと,連結財務諸表上の税効果会計の会計処理が異なるようなのですが,どのような点に注意したらよいでしょうか?
会計士 :今回は,完全支配関係にある国内会社間の譲渡取引の損益の繰延べについて,企業集団内の会社に土地を売却したケースとの比較で,企業集団内の会社に投資(子会社株式又は関連会社株式)を売却した場合の税効果を確認します。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 完全支配関係にある国内会社間の譲渡取引の損益(課税)の繰延べ(譲渡資産が土地の場合)

親会社P社保有の土地を完全支配関係にあるS1社に売却します。P社の土地の取得原価は1,000,譲渡価額は...