世界の会計事務所から 第10回 韓国 監査前財務諸表の提出時期はいつ?

KPMGソウル事務所 シニアマネジャー 西谷直博

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1.監査前財務諸表の提出義務

韓国は他のASEAN諸国と比較して,会計・監査の統制環境に関しては進んでいるという印象がある。日本と比較しても先行してSOXやIFRSが導入されているが,特に監査人の独立性については,日本よりも非常に厳格な部分がある。この点,韓国には,株式会社の外部監査に関する法律(以下,外監法)という法律があるが,ここ数年,監査人の独立性強化をめぐって,様々な法改正が実施されている。

ここ数年の代表的な法改正としては,監督機関が会社の財務諸表の作成における外部監査人への依存の深刻性を指摘し,監査人の独立性強化及び会計の透明性の向上を目標に,"会社の財務諸表の作成責任"を明確にした「会社の監査前財務諸表の提出義務」や「会社の財務諸表作成に関連する監査人の禁止行為の類型の明示」などがある。ここでは,日本の制度にはない会社の監査前財務諸表の提出義務を紹介する。

監査前の財務諸表提出義務にかかる主な内容は以下のとおりであるが,提出期限をめぐって議論がある。

対象提出先施行時期提出資料上場会社韓国取引所2014年7月1日連結/個別財務諸表-財務状態表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書...