TOPICS EYE MBOと再上場時の「のれん」会計

( 02頁)

1.MBOと再上場

2016年12月2日に,東京証券取引所と日本取引所自主規制法人は,「MBO後の再上場時における上場審査について」というパブリック・コメントを求める文書を公表した。その中には,「MBOを実施する当初から再上場などによるイグジットを念頭に置き,MBOと再上場が一連の取引として行われることがある」(P1)という記載がある。これに関連して,一連の取引の「のれん」の会計処理について取り上げたい。なお,MBO時の買収価格や再上場時の売出価格は適正だったという前提で,議論を進める。

2.一連の取引

会計処理の前に,MBOから再上場までの一連の取引を説明する。

MBOの際には,対象となる既上場の事業会社の株式を買い取るためのSPC(特別目的会社)が利用されることが多く,非上場化の達成後に当該SPCと事業会社が合併をすることがある。そして,合併会社が再上場することにより,株主がイグジットする。

MBOにおいては,SPCは株価に支配プレミアムなどを加味して株式を買い取ることになるが,株価は会社への市場の評価であり,それは将来の成果の期待の表れとしての「のれん」的な価値を含むものであろう。SPCが...