2017年度インド予算案

‐インド経済概況と税制改正概要(後編)‐

KPMGインド アソシエイト・ディレクター 公認会計士,米国公認会計士 宮下 準二

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1.はじめに

前回( 本誌No.3298 参照),インド経済概況および予算案の概要について,ご案内させて頂きましたが,今回は,各税金の改正内容について,ご紹介したいと思います。

なお,本文中の意見に関する部分については,筆者の私見である事をあらかじめお断りいたします。

2.直接税

今回の予算案で最も期待されていたのが,税率の改定です。これは,2015年度予算案にて公表されたもので,翌年度以降4年をかけて,現在の法人税率を30%から25%に5%低減するというものでした。しかし,昨年に引き続き,2017年度予算案でもロードマップが示される事はありませんでした。一方,インド内国法人のうち9割を超える企業に対して,税率を25%とする減税策をとっています。

(1)法人税

1)税率

売上高5億ルピー以下のMSME(Micro, Small, Medium Enterprise)と呼ばれる小規模事業者に対しては,税率を25%としています。MSMEに該当する日系企業は多くありませんが,インド全体では,9割以上の会社がこのカテゴリーに入る事から,インド国内ではある程度の評価を受けています。

一方,期待されていた税率の引下げ...