世界の会計事務所から 第11回 台湾 台湾はIFRS適用国?

KPMG台北事務所 パートナー 友野 浩司

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1.台湾版IFRS(T-IFRS)

日本にいる同僚会計士から,KPMG台北事務所の著者へ電話があった。

同僚会計士「台湾の会計基準についてちょっと教えてよ。台湾はIFRS適用国だよね?」

事前に各種情報をウェブで検索してからの問い合わせであった。

著者「そうですが...」

何とも私の回答の歯切れが悪い。IFRS適用国と単純に言っていいのか,台湾の会計基準の概要をまず説明する必要がある。

著者「IFRSではなくてT-IFRSです。」

一般的に台湾がIFRS適用国と認識されているのは台湾版のIFRS(T-IFRS)があるためである。T-IFRSは完全なIFRSではなく,現状では2013年12月31日を基準日として有効なIFRS及び解釈指針に基づき,台湾向けに一部修正が加えられたものである。

その適用は全ての会社ではなく,台湾証券取引所及びTaipei Exchangeの上場会社,エマージング・マーケットの登録会社,金融監督委員会所轄の金融事業者及び公開発行会社(上場前の準備段階で申請により,財務情報の公開が必要になる会社)に適用が強制されている。非公開発行会社においては2016年よりT-IFRSの任意適用が認...