Q&Aコーナー 気になる論点(183) のれんの事後測定の議論(2)

‐のれんの償却‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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IFRSや米国基準では,現在,のれんは償却せず減損処理だけですが,今後,償却することを議論していると聞きました。その議論は進展しているのでしょうか。

A:

米国財務会計基準審議会(FASB)は,2016年10月以降,のれんの償却を含む,のれんの事後測定に関する会計処理の審議を中断し,リサーチアジェンダに移しています。また,国際会計基準審議会(IASB)は,のれん及び減損をリサーチ・プログラムの1つとしていますが,現在,担当するスタッフが他のプロジェクトにコミットしており,IASBボード会議では,半年以上,議論していません。

<解説>

米国基準におけるのれんの償却(1)‐非公開会社

FASBが2014年1月に公表した会計基準更新書(ASU)第2014-02号「無形資産‐のれんとその他(Topic350):のれんの会計処理(非公開会社協議会のコンセンサス)」によって,非公開会社は,のれんを10年間(又は,より短い期間で償却することが適切である場合には10年より短い期間)の定額法により償却する代替的な会計処理を選択できるようになりました(350-20-15-4,350-20-35-63)

のれんの償...