MBO後の再上場に関する考え方の整理について

東京証券取引所 上場部 企画グループ 調査役 池田直隆

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1.はじめに

株式の上場に関して,上場ルールの整備を所管する株式会社東京証券取引所とその上場ルールに基づき上場審査を行う日本取引所自主規制法人(以下,両者を総称して「取引所」という。)は,昨年12月2日付で「MBO後の再上場時における上場審査について」と題した文書を公表し,その内容について意見募集を行った

当該文書は,MBO(Management Buy-Out)を行い上場廃止となった会社が株式を再上場しようとする場合の上場審査の視点・運用について,今後追加的に考慮すべき点を意見募集することで,今後の取引所における上場審査に活用していくことを目的としたものである。

本稿では,意見募集に至るまでの経緯,当該文書に記載した上場審査の視点・運用,意見募集の結果などを解説することで,取引所のMBO後の再上場に対する考え方や,再上場時の上場審査のポイントなどについて理解を深めていただくことを目的とする。

2.意見募集に至るまでの経緯

取引所では,株式の新規上場に関しては,通常「企業の継続性及び収益性」「企業経営の健全性」「企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性」「企業内容等の開示の適正...