Q&Aコーナー 気になる論点(184) 業績予想の開示

‐決算短信の見直しにおいて‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 22頁)

2017年3月期から決算短信のサマリー情報の様式を使用することが義務ではなくなり,また,記載方法が見直されました。この結果,業績予想は開示する必要はなくなったのでしょうか。

A:

東京証券取引所(東証)による決算短信のサマリー情報は,従来,作成・開示が義務とされていましたが,今回の改正により,参考様式に基づいて作成が要請されることとなりました。また,従来,サマリー情報には,業績予想の記載形式に応じて,「表形式」と「自由記載形式」がありましたが,今回の改正により,参考様式において「表形式」はなくなりました。このような変更が見られますが,東証では,業績予想について,すでに業績予想欄のないサマリー情報の様式を提供し,各社の判断で必要に応じた開示が行われており,その位置づけは変わらないとしています。

<解説>

決算短信の改正

政府が2015年6月に公表した「『日本再興戦略』改訂2015」では,攻めのコーポレートガバナンスの更なる強化の施策例の1つとして,「企業が投資家に対して必要な情報を効率的かつ効果的に提供するため,会社法,金融商品取引法,証券取引所上場規則それぞれが定める情報開示ルールを見直し,統合...