IFRSをめぐる動向 第96回 「開示イニシアティブ」の進展~重要性の適用プロジェクトなど(2017年2月までの動向)

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 三浦 朱美

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等での討議内容に基づき,最新のIFRSをめぐる動向を伝えることを目的としています。今回は,「開示イニシアティブ」プロジェクトについて,2016年6月以降,2017年3月までの主な動きとして,2016年10月,11月,12月のIASBにおける議論を中心に解説します。(「開示イニシアティブ」プロジェクトについて,本連載の第87回「開示イニシアティブ」プロジェクト( 第3265号 )にて2016年6月までの動きを解説しておりますので,あわせて参照ください。)なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.「開示イニシアティブ」プロジェクトの背景

財務報告における開示の質と量を改善していくためのIASBのプロジェクトである「開示イニシアティブ」は,図表1に示すような複数のプロジェクトから構成されています(2017年3月現在)。

【図表1】 開示イニシアティブを構成する主なプロジェクト

開示イニシアティブ完了したプロジェクト重要性の適用プロジェクトリサーチプロジェクト・IAS第1号「財務諸表の表示」の...