シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第18回 引当金

慶應義塾大学大学院 客員教授 西川郁生

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木村太一君 いよいよ負債項目ですね。

教授 引当金を議論しましょうか。

木村君 金融負債以外では,どうしても引当金が負債の議論の中心になりますね。

引当金の定義

教授 まず,日本とIFRS の定義から見てみましょうか。

木村君 日本は 企業会計原則注解18 に規定されており,将来の特定の費用または損失であって,その発生が当期以前の事象に起因し,発生の可能性が高く,かつ,金額を合理的に見積もることができる場合,当期の負担額を費用または損失に計上するというものです。一方,IAS第37号は,決済に必要な将来の支出の時期または金額が不確実な負債とされています。

教授 日本ではP/Lの費用または損失が借方に生じさせた結果の引当金残高を,資産または負債に記載するとされていて,資産の控除となる評価性引当金も 注解18 に含めています。これに対し,IFRSでは負債性引当金だけを扱っていて,借方は費用項目とは限らず,資産(将来の費用)も発生するとしています。

木村君 評価性引当金については横に置いておきたくなります。

教授注解18は古い規定ですので,日本の引当金基準が将来開発されるときに評価性引当金を含める必要はないでしょう。評価性引当金は...