FASB「のれんの減損テストの簡素化」について

~改正米国基準,IFRSや日本基準との相違点は?~

新日本有限責任監査法人 品質管理本部 キャピタル・マーケッツ部 マネージャー 公認会計士 森 圭司

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1.はじめに

米国財務会計基準審議会(以下,「FASB」)は,2017年1月にAccounting Standards Update No. 2017-04「のれんの減損テストの簡素化」(以下,「ASU 2017-04」)を公表しました。これは,現行の米国会計基準ののれんの減損テストのプロセスが複雑であり,テスト実施における各企業の労力やコストを軽減するために現行の減損テストを簡素化するものです。

ここでは,当該ASU 2017-04の主な改正点である,国際財務報告基準(以下,「IFRS」)や日本基準と比較して特徴的であったのれんの減損テストにおけるステップ2の廃止について解説すると共に,改正米国基準,IFRSと日本基準との比較について解説いたします。

本稿では,3つの会計基準の比較の点から,明瞭な解説を行うため,あえて厳密な表現を使用していない点についてご了承ください。

なお,本稿における意見に係る部分は,筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。

2.現行の米国基準上ののれんの減損テスト

現行の米国基準では,のれんは報告単位に配分され,定期償却されず,必要な場合に減損テストを行うことが求め...