「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の概要

金融庁総務企画局企業開示課 開示業務室長 原田一寿
金融庁総務企画局企業開示課 専門官 林 健一

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1.はじめに

平成29年3月31日,金融庁に設置された「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(座長:関哲夫 みずほフィナンシャルグループ取締役)(以下,「検討会」という)において,「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(以下,「コード」という)が策定・公表された。

本コードは,組織としての監査の品質の確保のため,監査法人が実効的な組織運営の実現に向けた改革を進めるうえで,大きな意義を有するものと考えている。

本稿は,監査法人はもちろんのこと,被監査会社,株主及び資本市場の参加者等のコードに対する理解を深める一助となるよう,コードの策定経緯,構成及び概要,内容,適用対象,当局における監査法人の取組みの実効性を確保するための対応等について概説することとする。

なお,本稿において意見にわたる部分は,筆者の個人的な見解であることをお断りしておく。

2.策定の経緯

資本市場を支える重要なインフラである会計監査は,最近の不正会計事案などを契機として,改めてその信頼性が問われている状況にある。こうしたことから,会計監査の信頼性確保に向けた必要な取組みについて検討する...