書評 PwCあらた有限責任監査法人 編『経営監査へのアプローチ』

(清文社刊/本体3,000円+税)

東京霞ヶ関法律事務所 弁護士 遠藤 元一

( 33頁)

本書は,「企業は誰のためにあるのか,企業の持続的な価値創造はどのようにすれば実現されるのか」という根源的な経営課題の解決のヒントとなる10の切り口を設定し,経営に資する実効的な内部監査(経営監査)の構築に迫ろうとする,PwCあらた有限責任監査法人の英知を結集した意欲作である。

評者の理解で各章を俯瞰すると,①CGコードの導入で内部監査部門は経営に対して内部監査の洞察を提供し,新たに直面する規制やルールへの積極的な対応が期待される(1章),②グローバル内部監査の枠組みの構築,各国・地域の法規制に基づく制度監査の最大限活用,グローバルリスクを蓄積する(2章),③M&A・経営統合等でPMIを成功させるには内部監査部門が重要な役割を果たす(3章),④グローバルレベルでのコンプライアンスの動向・特徴や,データ保護または贈収賄に関する法的規制を踏まえ広域経済連携に内部監査部門は重要な役割を果たす(4章),⑤グローバル税務ガバナンス,リスクマネジメント,ローカル税務・移転価格,BEPSへの対応実務も重要である(5章),⑥伝統的なシステム監査を踏まえたうえで,クラウド環境での監査,サイバーセキュリティに...