TOPICS EYE 東芝「無意見報告書」の問題を聞く!

( 08頁)

米子会社での巨額損失や内部管理の不備問題等で第3四半期報告書の提出を2度延期した東芝。「2部降格」や「上場廃止」が指摘されるが,提出した四半期報告書に監査人による意見がつかなかった(意見不表明)ことで,今度は「監査人の交代」や「オピニオン・ショッピング」などの問題が取り沙汰されている。無意見報告書で浮かび上がった東芝と監査の現況をどうみるか。八田進二・青山学院大学大学院教授にきいた。

-東芝が,監査人による結論のない第3四半期報告書を提出しました。

これは「結論の不表明」ということで,重要な監査手続が実施できなかった場合や,継続企業の前提に著しい懸念がある場合に取られる極めて異例の措置だ。PwCあらた有限責任監査法人が,第3四半期のレビュー結果について監査人としての意見表明ができなかったことから,その延長線上にある年度監査でも確たる意見を表明できないのではないかという見方もある。

-そのため東芝は監査人を交代して乗り切ろうとしているとか,そうした行為を「オピニオン・ショッピング」だとして批判する報道もあります。例えば,「適正意見をもらうための監査法人の変更は市場の信頼性の観点で,望ましくない...