世界の会計事務所から 第12回 ケニア 会社の監査義務と法律改正の実務的影響

KPMGケニア シニア 岩瀬 次郎

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1.会社の監査義務

(1)監査義務が免除される要件

「現行会社法のもとでの企業の会計監査義務について教えて下さい。」

2015年9月,ケニアの新会社法が公布され,同月から段階的に施行された。同法は2006年英国会社法を模範にして作成されたが,その中で会社法の監査義務についても規定が刷新され,多くの日本企業の担当者から問い合わせをいただく事項である。

「現行会社法のもとでは,709条1項に規定される通り,基本的に全ての企業に監査義務がありますが,休眠会社のほか,規模の小さい会社に対しても監査義務を免除する規定があります。」

「具体的に監査義務のない規模の小さい会社の要件とは何ですか?」

「それについては会社法711条2項に記載があり,その要件は,(a)当該年度において小規模企業としてみなされ,(b)当該年度における売上高が50百万シリング以下であり,かつ,(c)当該年度末における貸借対照表に明記された純資産の価額が20百万シリング以下であることになります。」

「(a)の小規模企業とは何でしょうか?」

「小規模企業の要件は,会社法624条1項から3項に記載されており,直訳すると以下のようになります。」

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