いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第11回 包括利益計算書に係る表示と注記開示
新日本有限責任監査法人 公認会計士 安福 健也
1.はじめに
第11回は,「包括利益計算書に係る表示と注記開示」を取り上げます。国際的な会計基準の動向に対応するため,我が国の会計基準も,国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準に合わせ,「包括利益の表示に関する会計基準」が平成23年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から,また,その他の包括利益の各内訳項目別の税効果の注記,及び組替調整額の注記については,その翌年から適用されています。
個別財務諸表については,包括利益に係る主な情報は,現行の株主資本等変動計算書から入手可能でもあること等を総合的に勘案し,当該基準は,当面の間,適用しないこととされています。
「包括利益」とは,企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち,増資や自己株式の取得など,当該企業の純資産に対する持分所有者 ① との直接的な取引(資本取引)によらない部分をいいます。
また,「包括利益」は,「当期純利益」と「その他の包括利益」から構成され,包括利益を表示する計算書(以降,「包括利益計算書」)に記載されます。
「その他の包括利益」には,その他有価証券評価差額金,繰延ヘッジ損益,為替換算...
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