上場会社の経理担当者が知っておくべきPPA実務　第４回 PPAにおける無形資産の認識プロセス

株式会社Stand by Ｃ　公認会計士・税理士　角野 崇雄

( 24頁)

１．無形資産の認識プロセス

前回は無形資産の認識基準について解説し，認識される無形資産の例示（例えば，商標，特許権など）を紹介した。今回は無形資産をどういったプロセス・手続で認識するのか，について解説する。【図表１】はPPA全体の一般的なプロセスを示しているが，その中でも「（１）無形資産の認識」に焦点を当てる。

「無形資産の認識プロセス」は【図表２】に示す通りであり，そのプロセス（１）～（４）のそれぞれについて解説する。

（１）初期依頼資料リストの送付

【図表３】はPPAプロジェクトを始めるに際して，一番初めに買い手企業へ依頼する資料の例示である。依頼する資料は案件ごとに異なり，これが必要な資料のすべてを網羅している訳ではない点に留意して頂きたい。

【図表３】初期依頼資料リスト例示№初期依頼資料例1本件買収の概要や買収目的等の詳細が分かる資料（例えば，社内説明資料，稟議用資料，取締役会資料，インフォメーションメモランダムなど）2対象会社の決算書3クロージングＢ/Ｓ（開始Ｂ/Ｓ）4株式取得に関連する契約書5財務税務DD報告書・法務DD報告書，環境DD報告書，その他6株式価値算定報告書7対象会社の将...