Q&Aコーナー 気になる論点(191) IASBの保険契約(1)

‐IFRS第15号の考え方との異同‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)が,2017年5月18日に公表したIFRS第17号「保険契約」では,サービス提供に関する売上計上を定めた2014年5月公表のIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」と同様に,保険サービスを顧客に移転することにより履行義務を充足するにつれて,収益を認識することとしているのでしょうか。

A:

IFRS第17号では,IFRS第15号と同様に,履行義務の充足につれて収益認識していく考え方を採っています。

<解説>

保険プロジェクトの経緯

1997年に国際会計基準委員会(IASC)において開始された保険プロジェクトは,2001年に設立されたIASBが引き継ぎ,EU等による2005年のIFRS適用に備え,暫定的な会計基準として2004年にIFRS第4号「保険契約」を公表しています。その後,包括的な見直しのために,以下の公表物へのフィードバックなどを経て,IFRS第17号が公表されています。

(1) 2007年5月公表のディスカッション・ペーパー「保険契約に関する予備的見解」

(2) 2010年7月公表の公開草案(ED)「保険契約」

(3) 2013年6月公表の再ED「保険契約」...