強制適用間近!一般事業会社向け おさらいIFRS第9号 第3回「金融商品」 実務上のポイント②
有限責任あずさ監査法人 公認会計士 太田 実佐
前回( No.3321 )に引き続き,IFRS第9号の主な改訂点の内,一般事業会社が保有すると思われる金融商品について以下の項目をとりあげ,実務上の適用方法や留意点について設例とともに説明します。
① 資本性金融商品への投資のFVOCIオプションの適用
② 営業債権に関する予想信用損失の見積りに係る実務上の便法
③ 純額ポジションのヘッジ
④ ヘッジ手段の一部指定及びヘッジコストの会計処理
今回は上記のうち,③及び④について解説します。
Ⅲ.純額ポジションのヘッジ
IFRS第9号では,ヘッジ対象が純額ポジションの場合でも,一定の要件を満たす場合には,純額ポジションを構成する複数の項目のグループをヘッジ対象として指定することが可能となりました。ただし,キャッシュ・フロー・ヘッジでは,為替リスクのみが純額ポジションをヘッジ対象とすることが認められ,また,追加の要件を満たすことが必要となります。
この点,「純額ポジションのヘッジ」という表現をしていますが,不特定の抽象的な金額の純額ポジションをヘッジ対象として指定することは認められていません。「純額ポジションのヘッジ」とは,相殺し合うリスク・ポジションを...
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