ハーフタイム ドイツ経済はなぜ強いのか

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1990年の東西統一後のドイツでは,旧東独の再建にカネがかかりすぎ,国際収支が赤になって"欧州の病人"と言われた。だが1999年から2007年にかけてのドイツは輸出競争力を取り戻し,2015年以降は財政黒字を続けた。昨年の国際収支は中国を上回り,$300bn(GDPの8.3%)の巨額黒字を計上した。その成果は,エコノミスト誌(7月8~14日号)によると,世界から賞賛されると同時に,"世界に失業を輸出した"と非難されている。アメリカのトランプ大統領は"very bad"と嘆き,ドイツ車の米国販売数増加に罰則を科すと脅している。

外部の声はさておき,ドイツ経済はなぜ強いのだろうか。わが国と同様,労使関係が安定し,技術力に優れ,少子高齢化に苦しんでいる。移民を受け入れても人手不足は変わらない。2000~2007年の賃金上昇率は,OECD平均3.5%のところ,1%に抑えられてきた。成長は国内消費よりも輸出に頼る点も同じ,欧州中銀ECBによる低金利政策により個人預金からの金利収益がゼロに近いところも同じだ。これだけなら日本も強くなるはずだった。

次に英米の資本主義システムと比較してみよう。注目される...