上場会社の経理担当者が知っておくべきPPA実務 第7回 WACC,IRR,WARAと各資産の割引率の設定
株式会社Stand by C 公認会計士・税理士 角野 崇雄
1.はじめに
前回( 本誌No.3323 )は無形資産の超過収益法やロイヤリティ免除法について解説したが,これらの評価においては,将来キャッシュ・フローを個々の資産に応じて想定されるリスクを考慮した割引率(期待収益率)を用いて現在価値へ割引くことが必要となる。そのためには資産毎に割引率を設定する必要があるが,どのように設定するのだろうか?
割引率は,一般的に加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital. 以下,WACCと言う。),内部収益率(Internal Rate of Return. 以下,IRRと言う。)及び加重平均資産収益率(Weighted Average Return on Assets. 以下,WARAと言う。)の分析を通じて設定される。そのため,本稿ではWACC,IRR,WARAの概念及び3者の関係及び各資産の割引率の設定方法について解説する。
2.WACC,IRR,WARAについて
(1)WACC
WACCは一般的に企業価値評価に用いられる割引率であり,企業全体の投下資本に対する資本の調達コストであり,株主資本コストと負債コストの加重平均で...
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