シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第23回(最終回) 概念フレームワーク

慶應義塾大学商学部 客員教授 西川郁生

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木村太一君  いよいよこの対話も最終回になりましたね。

教授  最終回は概念フレームワーク(FW)について話しましょう。

木村君  最終回がFWですか?最初にやってもいいような話題ですね。

教授  そうですね。その意図については最後に触れましょう。

FWの役割

教授  まず,FWの役割(purpose),FWは何のために作られるか,から考えましょう。

木村君  一番は会計基準設定主体自身が会計基準開発において利用する,ということだと思います。FWの考え方に則ることによって,異なる時点に作成された会計基準の首尾一貫性が保たれる,ということがあると思います。

教授  そうですね。多くの会計基準群を貫く共通の基本的な考え方を示す,という役割が大きいですね。FWは会計基準における憲法であるとよく言われますが,その点,どう思いますか。

木村君  法律も憲法に反しないように作られるということを考えると,似ているように見えます。でも憲法かといわれると違和感があります。

教授 そうですね。憲法は明確に法律としての強制力があり,個々の法律に憲法違反の規定を入れることは認められません。IFRSの新しいFWでは,FWに反する基準を作成すると...