Q&Aコーナー 気になる論点(195) 発生の可能性が高い

‐企業会計基準公開草案第61号①‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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企業会計基準委員会(ASBJ)が2017年7月20日に公表した企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「会計基準案」)では,国際会計基準審議会(IASB)が2014年5月に公表したIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」と同様に,①顧客との契約が満たすべき5つの要件の1つに,対価を回収する可能性が高いこと(16項(5)),②変動対価の額に関する不確実性が事後的に解消される際に,解消される時点までに計上された収益の著しい減額が発生しない可能性が非常に高い部分に限り,取引価格に含めること(51項)を提案しています。

これらの発生の可能性は,IFRSと同じレベルのものなのでしょうか。

A:

会計基準案では,IFRS第15号の定めを基本的にすべて取り入れる開発の方針を採っており,その意味まで取り入れているとすれば,発生の「可能性が高い」は,IFRSと同じレベルのものを提案していることになります。ただし,そうであれば,同じ用語であっても,これまでのわが国の会計基準における意味とは異なるものになります。

<解説>

会計基準案(1)‐背景

わが国では,「企業会計原則」において,...