上場会社の経理担当者が知っておくべきPPA実務 第9回 PPAで使用する事業計画について

株式会社Stand by C 公認会計士・税理士 大和田 寛行

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前回( 本誌No.3328 )は無形資産の経済的耐用年数について詳しく解説した。第9回は,無形資産評価において用いられる事業計画について解説する。なお,以下の解説は,無形資産の測定においてインカム・アプローチを採用する場合を前提としている。

1.使用される事業計画について

PPAにおける無形資産評価は,端的に言えば,事業計画上の将来キャッシュ・フローからもたらされる経済的価値を,無形資産の価値とのれんの価値に配分する手続である。

第5回( 本誌No.3321 )でも解説したように,無形資産の評価は,公正価値アプローチに基づき行われる。繰り返しになるが,公正価値とは「測定日時点で,市場参加者間の秩序ある取引において,資産を売却するために受け取るであろう価格又は負債を移転するために支払うであろう価格」であり,無形資産の評価は,一般的な市場参加者の見地に立って行わなければならないことを意味している。事業計画についても,上述のような公正価値アプローチに基づき策定されたものを使用することが求められる。それでは,公正価値アプローチに基づき一般的な市場参加者の見地に立った事業計画とはどのようなものであろうか。

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