厳選!現場からの緊急相談Q&A 第47回 自己株式と投資有価証券の取得および売却における会計処理の違い

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 淡河 貴絵

( 16頁)
経理部員 :当社は上場会社であり,自己株式を保有しています。当社としては,この自己株式を今後有効活用していくことも視野に入れているのですが,まずは,取得時および売却時の会計処理の留意点を教えてください。
会計士 :自己株式は金融資産ではないため,同じ上場株式でも「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)における有価証券,例えば,投資有価証券(その他有価証券に分類されるもの。以下本稿において同じ。)等とは異なる取扱いが定められていますので,この投資有価証券との比較の観点から,その考え方を整理しましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1 自己株式の取得と投資有価証券(上場株式)の取得における認識

当社は,市場より自己株式を取得することを検討しています。当社が,取締役会①において当該取得を決定したうえで,自己株式の取得を約定し,その後,引渡しを受け金銭を支払う場合,いつの時点で自己株式の取得を認識する必要があるでしょうか。また,投資有価証券(上場株式)の取得を約定し,引渡しを受け金銭を支払う場合と...