先読み 経財トピックス Topic 6 英国コーポレートガバナンス・コードの現在(いま)

野村総合研究所 上級研究員 三井 千絵

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はじめに

日本でコーポレートガバナンス・コード(以下,CGコード)の導入の議論が始まってから3年,導入から2年以上たち,この間日本の上場企業は,短い準備期間でコードの要件への対応に立ち向かってきた。

日本でのCGコード導入の背景は,金融庁が公表したコード原案の冒頭に示されているように,元々は「日本再興戦略」から始まっており,企業の中長期的な成長の実現が目的である。また,CGコードは「機関投資家が,対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど受託者責任を果たすため」として導入されたスチュワードシップ・コードともセットになっており,「車の両輪」とも言われている。両コード導入時に参考にした英国でも,同様に2つのコードが導入されており,企業のガバナンス改善に向け投資家と企業双方が取り組めるようなメカニズムになっている。

金融庁をはじめとした関係者は,英国のコードやその取り組みを参考にした議論を行ってきた。特に英国のCGコードはロンドンで上場している企業に適用されていることから,グローバルな投資家が企業に求める基本的な要件が含まれている,とみることができる。従ってそれと同レベルの要件を含むCGコードを日...