注記実務の留意点 第3回 退職給付関係注記
仰星監査法人 公認会計士 森 崇
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はじめに
退職給付関係注記は,「退職給付に関する会計基準」等が2012年に改正されたことに伴い,注記の量が増加するとともに複雑性が増した。当該注記は訂正報告が行われることが多い注記項目であり,注記の作成にあたっては慎重な検討が必要である。
以下では,連結財務諸表を前提に解説しているが,個別財務諸表において関連する項目についても注意点は同じである。また,「退職給付に関する会計基準」の2016年改正においてリスク分担型企業年金の取扱いが追加されているが,リスク分担型企業年金を採用している事例が少ないことから当該取扱いにかかる解説は割愛させていただく。
<会計基準等の略称>
会計基準: 退職給付に関する会計基準 (企業会計基準第26号) 適用指針: 退職給付に関する会計基準の適用指針 (企業会計基準適用指針第25号) 連結財規:連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則 |
1.採用している退職給付制度の概要
はじめに,会社及び連結子会社が採用している退職給付制度の概要を記載する必要がある(連結財規第15条の8第1項,第15条の8の2等)。退職給付制度の概要とは,主に,①採用している退職給付制度の種類(すなわち,...
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