平成30年3月期決算~Q&Aで分かる!会計&税務のポイントと対応策(下)

 公認会計士 太田 達也

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Ⅳ 退職給付会計関係

Q15

平成30年3月期決算において,退職給付債務等の計算に用いる国債の利回りがマイナスとなる場合の取扱いはどのようになるでしょうか。

退職給付債務等の現在価値への割引計算において,国債の利回りがマイナスであるときに,マイナスのまま計算するのか,ゼロとするのかについては,意見が分かれており,また,国際会計基準等にも取扱いがありません。

平成29年3月29日付で企業会計基準委員会から,実務対応報告第34号「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(以下,「実務対応報告第34号」)が公表されました。実務対応報告第34号では,「退職給付債務等の計算において,割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合,利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法による。」(実務対応報告第34号2項)とされています。また,適用時期については,平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用するとされています(...