IFRSをめぐる動向 第103回 動的リスク管理(マクロヘッジ)

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 浅井 敬子

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。動的リスク管理(マクロヘッジ)については,2017年3月から同年9月までは銀行の金利リスクの動的リスク管理活動について理解を深めるための教育セッションが行われていましたが,2017年11月から動的リスク管理に関する会計基準の開発に向けた具体的な議論が始まっています。

今回は,2017年11月および同年12月の基準開発に向けた議論の内容について取り上げます。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておきます。

2.動的リスク管理のための会計モデル

(1)動的リスク管理(Dynamic Risk Management, DRM)

本連載の第99回「マクロヘッジ再び」(第3322号)で説明しているとおり,銀行の金利リスクの動的リスク管理活動は,資産のポートフォリオのプロファイル(アセット・プロファイル)を,目標とするプロファイル(ターゲット・プロファイル)に整合させることに焦点を当てています。アセット・プロファイルをターゲ...