決算短信・四半期決算短信の開示を巡る動向

~建設的対話の促進に向けた見直しから1年を迎えて~

東京証券取引所 上場部 前川 和俊

( 16頁)

1.はじめに

東京証券取引所(以下,「東証」という。)では,2016年4月に公表されたディスクロージャーワーキング・グループ報告に基づき,2017年3月に決算短信・四半期決算短信の様式の自由度向上に関する見直し を実施した。この見直しは上場会社と株主・投資者の建設的な対話を促進する観点から,対話の基盤となる情報開示を,より効率的・効果的なものとする一連の取組みのひとつである。もっとも,上場会社の決算発表の実務は長年の積重ねによって作り上げられてきたものであり,見直しの趣旨や効果の実現には相応の時間と地道な周知の努力を要すると考えられる。

そのため,東証では,概ね四半期ごとに各社の取組みの進展状況の調査を行い,検討材料として上場会社に提供してきている。そのような周知活動の一環として,上場会社各社の適用初年度における取組み状況及び今後の対応に向けた意識調査を目的に,2017年12月~2018年1月にかけて,「決算短信等の自由度向上に関する上場会社アンケート」を実施 し,その結果を上場会社あてに通知した。本稿では,当該アンケートの結果について解説する。

なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の個人的...