Q&Aコーナー 気になる論点(212) IASB概念フレームワークの改正(1)

‐位置づけ‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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Q 国際会計基準審議会(IASB)は,2018年3月29日に,「財務報告に関する概念フレームワーク」(2018年概念フレームワーク)を改正しています。これにより,内容が相違するIFRSは,自動的に改正されることになるのでしょうか。

A

いいえ。概念フレームワークの改正がIFRSの改正を自動的にもたらすわけではなく,改正するかどうかの決定は,IASBが,アジェンダに追加しIFRSを改正するデュープロセスによって行うことになります。

<解説>

2018年概念フレームワーク(1)‐改正の経緯と概要

IASBは,前身の国際会計基準委員会(IASC)が1989年に公表した概念フレームワークを引き継ぎ,2004年に,米国財務会計基準審議会(FASB)と,両者の概念フレームワークを見直す共同プロジェクトを開始し,2010年に,その一部を改正しています(BC0.2項‐BC0.3項)。

その後,IASBとFASBは,他のプロジェクトに集中するために共同の作業を休止しましたが,IASBは,アジェンダ・コンサルテーション2011を受けて,2012年に単独で議論を再開しました(BC0.5項‐BC0.6項)。IASBは,[図...