有価証券報告書 作成上の留意点(平成30年3月期提出用)

公益財団法人 財務会計基準機構 企画・開示室  高野 裕郎

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Ⅰ はじめに

財務会計基準機構(FASF)では,FASFセミナー「有価証券報告書作成上の留意点」(以下「本セミナー」という。)を4月2日から13日にかけて全国9か所11回にわたり開催した。

本稿は,本セミナーで説明した内容を基に,平成30年3月期の有価証券報告書(以下「有報」という。)における作成上の留意点についてまとめたものである。金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告(以下「DWG報告」という。)における提言を踏まえた「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」という。)等の改正に関する留意点や,企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)から改正・公表された企業会計基準等に関する留意点を解説する。

なお,文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめ申し添える。

Ⅱ DWG報告を踏まえた開示府令の改正に係る留意点

1.概要

平成30年1月26日に「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(平成30年内閣府令第3号)が公布・施行され,平成30年3月31日以後に終了する事業年度に係る有報について適用される。本改正は,DWG報告において,企業と投...