上場企業のための 自己株券買付状況報告書の作成に関するQ&A

株式会社プロネクサス ディスクロージャー相談第2部 金商法グループ  菅原 史織

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はじめに

自己株券買付状況報告制度は,平成13年の金庫株の解禁等に伴う旧商法の改正により従来の自己株式取得・保有規制が大幅に緩和され原則自由とされたなかで,自己株式の取得が企業の資本構成を変化させ,財務内容に影響を与える投資判断上重要なものであることを考慮して上場会社の自己株式の取得・処理・保有の状況を開示させるために設けられたものです。

具体的には,上場株券等の発行者である会社が自己株式の取得に関して株主総会や取締役会の決議を行った場合に,これを決議した月から自己株式を取得できる期間の満了する月まで毎月継続的に自己株式の取得状況などを記載した自己株券買付状況報告書を提出して買付状況等を開示することとされており,当該制度によって自己株式の取得等に伴う相場操縦やインサイダー取引等の不正取引を事前に抑止する効果が期待されていると言われています。

今回は,自己株券買付状況報告書の作成に際して開示担当者から寄せられることの多いご質問を中心とした作成上の留意点を,「一般的事項」,自己株券買付状況報告書の記載内容である「取得状況」・「処理状況」・「保有状況」の各項目,「その他の留意事項」の5つに分けてQ...