世界の会計事務所から 第19回 ブラジル 日系企業が直面する会計・税務の論点
KPMGブラジル カンピーナス事務所 マネジャー 菊元崇
1.はじめに
ブラジルには様々な日系子会社が進出しているが,地理的な遠隔性及びポルトガル語と,日本からの現地法人管理を難しくする要因が存在する。以下では,よく受ける会計及び税務上の論点を,FAQ形式で説明する。
2.会計・監査面
Q1.ブラジル会計基準について,日本基準あるいは国際会計基準との違いを教えて下さい。
ブラジル会計基準(以下,BR-GAAP)は国際会計基準(以下,IFRS)と非常によく似ているが,ブラジル企業はIFRSを直接参照することはできない。ブラジルには,公式のBR-GAAPを発行するための,CPC(Comite de Pronunciamentos Contabeis)と呼ばれる現地の会計基準設定団体がある。一般に,CPCは国際会計基準審議会(IASB)により発行されたIFRS及びIASの解釈及び解釈指針を評価し,ポルトガル語への翻訳を行い,ブラジル企業への適用を行っている。従って,ブラジルがIFRSベースの会計基準を持つということはいえるが,BR-GAAPとIFRSの間には一部GAAP差異あるいは翻訳による適用時期のずれが存在する場合もある。
従って,日本基準との比較の観点...
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