経営財務×税務通信 特別座談会 新収益認識の実務-会計,法人税,消費税-《第1回》

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PwC税理士法人 税理士 佐々木 浩
企業会計基準委員会 副委員長 小賀坂 敦
 税理士 和氣 光
 税理士 成松 洋一
新日鐵住金株式会社 財務部上席主幹 合間 篤史
株式会社東武百貨店 経理部主計課係長 鈴木 美貴子

【目 次】

【第1回】今週号 次回以降

第一章 総論

収益認識会計基準の創設を踏まえた会計,法人税,消費税のスタンス

1.企業会計

2.法人税

3.消費税

4.企業の受け止め方

5.総括

第二章 各論

1.主要項目の検討

(1)収益の計上単位

 ①収益の計上単位の通則

 ②ポイント制度

 ③重要な金融要素

(2)収益の計上額

 ①収益の計上額の通則

 ②値引き・割戻し等

 ③返品・貸倒れ

 ④消化仕入

(3)収益の計上時期

 ①収益の計上時期の通則

 ②商品券

 ③検針日基準

 ④ライセンス

 ⑤返金不要の顧客からの支払い

 ⑥その他

2.中小企業等への影響

3.監査対応,税務調査対応

4.決算・税務申告対応

本年3月30日,企業会計基準委員会(ASBJ)は「 収益認識に関する会計基準 」を公表した(詳細は「経営財務」 No.3359 ,「税務通信」No.3511を参照)。これを踏まえ,法人税法では,22条の2が創設され,法人税基本通達も大幅に改正されている。他方で,消費税は従来通りのスタンスを維持しており,会計・法人税と消費税の"泣き別れ"が懸念されているところだ。そこで,本座談会では,まず,企業会計,法人税,消費税が,収益認識会計基準の創設を踏まえ,どのように変わるのか,或いは変わらないのか,それぞれのスタンスや取扱いを明確にし,その上で,不一致が生じる主要項目を中心に,実務に与える影響,留意点や今後の対応などを議論した。この他,廃止された長期割賦販売等の延払基準,返品調整引当金制度と経過措置,中小企業への影響,税務調査,監査対応などについても言及している(開催日:7月23日)。

※本座談会は「経営財務」「税務通信」の合同企画であり,両誌に同じものが掲載されます。

第一章 総論:収益認識会計基準の創設を踏まえた会計,法人税,消費税のスタンス

佐々木 本日は「収益認識を巡る会計・法人税・消費税のスタンスと実務対応」をテーマに議論したいと思います。収益認識会計基準(新基準)を踏まえた今回の税制改正は法人税の基本となる部分を見直す形になりましたので,その考え方や実務などの多方面に影響が及ぶとみられます。そこでこの座談会には,企業会計基準委員...