図解と事例で学ぶ!収益認識基準 第9回:いつ売上になる?(1)

 公認会計士・税理士 内田 正剛

( 24頁)

第9章 いつ売上になる?(1)

1.収益認識と5つのステップの復習

今回から,ステップ5「義務を果たす=売上」を解説していきます。いつものように今回も,連載第1回( No.3372 )で解説した「【図1】収益認識と5つのステップ」を眺めてから,第9回を読み進めて行きましょう。

【図1】収益認識と5つのステップ

2.売上の会計処理の考え方

(1)約束を果たしたからお金がもらえる

売上・収益は,相手方へ商製品やサービスを提供したことで増えた財産のことをいいます。事業や会社の経済実態を数値で適切に反映するのが会計なので,売上の会計処理を考える上では「何をしたら財産が増えるのか?(=お金をもらえるのか?)」を検討する必要があります。売主が買主からお金をもらえるのは買主と取り交わした約束を売主が果たしたからなので,売上の会計処理検討の「ステップ5」では「約束・義務を果たす」に着目します(【図2】)。

(※約束:商品・製品の引き渡しやサービスの提供,以下同じ)

【図2】約束を果たしたら売上

(2)約束の果たし方

実際のビジネスでは約束の内容は様々なので,約束の果たし方も多様です。そこで会計基準では,約束の果たし方を2つの...