IFRS16号「リース」適用の留意事項 第5回(最終回) 表示と開示,財務指標への影響

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士・米国公認会計士 小山 智弘

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Ⅰ はじめに

第4回( No.3383・30頁 )では,IFRS16号における個別論点である①借手の通常の会計処理からの免除規定(少額資産リースと短期リース),②サブリース,③セール・アンド・リースバック取引を解説しました。これによりIFRS16号では,リースの借手の貸借対照表にリース取引から生じる資産(使用権資産)と負債(リース負債)が認識されること以外にも,会計処理と財務数値に影響が生じ得ることを確認しました。

前回までは,IFRS16号の会計処理について解説してきましたが,本稿ではIFRS16号を適用したことによって,財務諸表の表示と開示がどのように変わるか,および財務指標へどのような影響が及ぶかを解説します。ただし,表示と開示に関しては,IFRS16号で会計処理が大きく変更される借手にフォーカスします。

なお,本稿は筆者の理解に基づいており,筆者の所属する法人の見解ではない点にご留意下さい。また,開示例については理解を目的とするために事実を簡略化していますので,実務での検討の際には実際の様々な条件を考慮する必要があります。

Ⅱ 表示

1.貸借対照表

IFRS16号では,リースの借手は,以下を貸...