役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<201> 特例有限会社における任期の定めのない取締役の解任

 弁護士 小林 公明

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特例有限会社の任期の定めのない取締役は,その解任につき正当な理由がないときは,会社に対し 会社法339条 2項に基づく損害賠償を請求することができるか。

1 結論

会社法339条 2項に基づく損害賠償を請求することはできないと考えられる。

2 特例有限会社

(1)特例有限会社とは

旧有限会社(廃止前の有限会社法‐旧有限会社法‐の規定による有限会社であって,「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」‐「整備法」又は単に「整備」と略称する‐の施行の際現に存するもの)は,整備法の施行日(会社法の施行日と同じ‐整備法附則‐。平成18年5月1日)以後,会社法の規定による株式会社として存続し(整備2Ⅰ),そのうち商号中に有限会社という文字を用いるものを「特例有限会社」という(整備3Ⅱ)。

すなわち,旧有限会社は,なんらの定款変更や登記変更を要せずに「有限会社」という商号の株式会社に自動変更し,整備法上「特例有限会社」と称され,実務でもそのように称されている。

整備法により有限会社法は廃止されたので(1③),整備法施行後に新たに旧有限会社を設立することはもちろん,特例有限会社を設立することもできない(整備4...