EY新日本有限責任監査法人　公認会計士　安福　健也

「いまさらきけない」最終回である今回は，「会計方針の変更」を行った場合の，実務上の取扱いについて，簡単な設例を使って解説を行います。

「会計方針の変更」は，「表示方法の変更」や「会計上の見積りの変更」とともに「会計上の変更」のうちの１つとして位置づけられます。本稿では，「会計方針の変更」について説明し，また，「会計上の見積りの変更」について，「会計方針の変更」との対比のうえで概説します。さらに，「会計方針の変更に伴い，過去の財務諸表に遡及適用を行う場合の原則的な取扱い」および，会計方針の変更に関連する「注記内容」を確認したうえで，「会計方針の変更」を行った場合についての「設例」にて，簡単な数値を使って，金融商品取引法の規定により作成される財務諸表（２期比較の形式）および会社法の規定により作成される計算書類（１期のみ記載する形式）の表示方法，並びに注記の記載例を説明します。続いて，「会計方針の変更に関する原則的な取扱いが実務上不可能な場合の取扱い」を紹介し，最後に「重要性」について確認します。

１．会計方針の変更

会計方針とは，財務諸表の作成にあたり採用された会計処理の原則および手続をいい，財...