Q&Aコーナー 気になる論点(229) FASBの概念フレームワーク改正(2)

‐財務諸表の注記‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 米国財務会計基準審議会(FASB)は,2018年8月28日に公表した財務会計概念書(SFAC)第8号「財務報告のための概念フレームワーク 第8章:財務諸表に対する注記」(以下「注記フレームワーク」)では,財務諸表の注記において,将来志向の情報(future-oriented information)を記載しないこととしているのでしょうか。

将来志向の情報は,注記における情報提供の制約ですが,測定のインプットに用いられる見積りや仮定についての情報や,経営者の支配が及ぶ事項に関する既存の計画や戦略についての情報は,有用な開示と考えられています。

<解説>

FASBの概念フレームワークの改正‐経緯

FASBは,IASBとの共同プロジェクトにより,SFAC第1号「営利企業の財務報告の目的」とSFAC第2号「会計情報の質的特性」を置き換えるように,2010年9月にSFAC第8号「財務報告のための概念フレームワーク」を公表しています。FASBは,その後,単独で概念フレームワーク・プロジェクトを行い,[図表1]の公表物に対するコメントなどを踏まえ,2018年8月に,SFAC第8号第8章として注記フレー...