会社計算規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第27号)の解説

法務省 民事局付 藺牟田 泰隆
法務省 民事局付 邉 英基
法務省 民事局付 青野 雅朗
法務省 民事局付 坂本 佳隆
法務省 民事局調査員 飯嶋 めぐみ

( 14頁)

1 はじめに

本稿は,会社計算規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第27号。以下「本省令」という)による会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の改正の概要を解説するものである。

なお,文中意見にわたる部分は,筆者らの個人的な意見にすぎない。

2 改正の背景

本省令は,以下に述べる企業会計基準第29号「 収益認識に関する会計基準 」(以下「収益認識会計基準」という。)等の公表を受けて,会社計算規則の改正を行うものである。

企業会計基準委員会は,国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)が平成26年(2014年)5月,「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS第15号,FASBにおいてはTopic606)を公表したことを踏まえ,IFRS第15号を踏まえた我が国における収益認識に関する包括的な会計基準の開発に向けた検討を行い,平成30年3月30日,収益認識会計基準等を公表した。

収益認識会計基準の基本となる原則は,約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように,収益を認識することとされ,こ...