世界のIFRS適用事例 Case14 生物資産の会計処理と評価

解説
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国際会計基準(IAS)の最後の基準書であるIAS第41号「農業」は,農業活動に関連する会計処理と開示を定めています。IAS第41号は,生物資産(生きている動物又は植物),収穫時点における農産物及び政府補助金が農業活動に関連する場合の会計処理に適用されるとされており(第1項),農産物として収穫するために栽培されている植物(例えば,材木として使用するために生育されている木)や動物,魚等がIAS第41号の適用対象となります。そして,生物資産は売却費用控除後の公正価値で測定されます。

欧州と南アの製紙会社が行った山林資産に関する開示

フィンランドの製紙会社であるストラエンソ(Stora enso)社が保有する生物資産は,パルプの原材料や機械による材木製造,及びバイオ燃料として使用される立木であるとされています。そして,森林資産(forest assets)の評価は,継続的な事業からのキャッシュ・フロー,すなわち成長の可能性を考慮した持続可能な森林管理計画に基づいており,割引キャッシュ・フローモデルに基づいて生物資産の公正価値が算定されます。具体的には,樹木の生長予想から導出される年...