IFRS第16号「リース」の海外における事例分析 前編

解説

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士・米国公認会計士 小山 智弘

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Ⅰ はじめに

IFRSの新たなリース会計基準であるIFRS第16号「リース」(以下,IFRS第16号)は,2016年1月に公表されている。IFRSにより財務諸表を作成する企業は,当該基準書を2019年1月1日以降開始する事業年度から適用することになる。一方で2018年度以前から海外を含めて,このIFRS第16号を早期適用する会社も出ている。本稿では2回にわたって,このようなIFRS第16号をすでに適用した企業の財務諸表を紹介し,その特徴を解説する。

なお,本文中では,様々な外国企業の財務諸表の開示例を取り挙げる。表については基本的には原文をそのまま記載している。一方で文章については日本語に翻訳しているが,理解に必要なエッセンスと思われる個所を要約しており,原文に一語一句対応する直訳ではない点にはご留意いただきたい。

Ⅱ IFRS第16号の概要と想定されるインパクト

IFRS第16号では,借手は,リース料の支払義務である「リース負債」と,リース期間にわたって原資産を使用する権利である「使用権資産」を認識する。「リー...