SPECIAL INTERVIEW 日本公認会計士協会 次期会長 手塚 正彦 氏

解説
日本公認会計士協会 次期会長 手塚正彦
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<編集部より>

日本公認会計士協会(JICPA)の次期会長に手塚正彦氏が選出された。手塚氏は有限責任監査法人トーマツのパートナーで,JICPAの常務理事も務め,監査における課題やIT活用への取組みに従事してきた。本誌はこのほど,就任に先立ち,手塚次期会長のインタビューを実施。「会計監査の在り方に関する懇談会」提言への対応の進捗状況や,ITを活用した監査の未来についてお話いただいた。

1.次期会長としての抱負

──会長就任後に取り組みたいこと,抱負をお聞かせください。

手塚正彦氏(以下,手塚)  まずは公認会計士監査に対する社会からの信頼を確立すること,そして,公認会計士が広いフィールドでより社会に貢献できる環境を整えることです。それが公認会計士という仕事の価値をさらに高めること,魅力の向上につながると思います。中長期的な観点からは,会員の皆さんとともに公認会計士が社会に貢献するために何ができるのか,何をすべきなのかを明らかにして,日本公認会計士協会(JICPA)として会員を支援していきたいと思っています。

2.「会計監査の在り方に関する懇談会」提言への対応

──いわゆる「在り方懇」提言では,JICPAの自主規制機能の強化などが求められています。対応の進捗状況はいかがですか。

手塚  着実に進めています。まず,品質管理レビューによる監査の品質チェック については現執行部の下で具体的な施策を検討しており,会則の変更も含めて議論が進んでいます。重要なポイントのひとつが,品質管理レビューの実効性の向上です。実効性の向上の観点から,例えば,特別レビューの実施要件を緩和し,監査意見の表明前後を問わず,特定のテーマ等を適時に確認するなどより機動的にできるようにしようということです。定期の品質管理レビューに関しても,リスクをより的確に捉えられるように,オフサイト・モニタリングについても精度を上げて効率的に取り組みたいと思っています。

また,公認会計士・監査審査会(CPAAOB)の検査とJICPAの品質管理レビューには,重複感があるとの指摘もありますので,品質管理レビューの実施頻度についても検討しています。制度の建付けとしてはJICPAが監査法人を監督していますが,これはあくまでも自主規制のため身内に甘いのではないかと思われてしまったり,視野が狭くな...