厳選!現場からの緊急相談Q&A 第60回 賃貸等不動産の時価等の開示

解説

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士  塩崎 哲生

( 18頁)
経理部員 :異動に伴い賃貸等不動産に関する注記情報の作成を新たに担当します。引継ぎ資料を参考に準備をしようと思っていますが,どのような点に注意すればよいか教えていただけないでしょうか。
会計士 :それでは,趣旨を理解した上で,開示対象範囲の考え方や留意点について,整理していきましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1賃貸等不動産の時価等の開示の趣旨について教えて下さい。

◆Answer◆

―Key Point―

・一定の不動産については,事業投資と考えられるものでも,その時価を開示することが投資情報として一定の意義があるという意見があること,さらに,国際財務報告基準(IFRS)が原価評価の場合に時価を注記することとしていることと整合性のあるものとする観点から,賃貸等不動産に該当する場合には,時価の注記を行うこととなりました。

―解説―

わが国において固定資産に区分されている不動産は,一般に,原価評価(取得原価から減価償却累計額等を控除した金額で計上)されて...